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アニメを楽しく見てもらいたいです。

2021年秋アニメも出そろったので好きなOPからアニメを喋る

 2021年秋アニメも出そろい、それぞれのアニメの2話が放送、配信されてOPも出そろって参りました。

 毎年秋のアニメは意欲的な作品が並ぶことが多く、今年はなんと深夜の原作付きからオリジナル含めて、新作ロボットアニメが何作もあるということで話題になっている素晴らしいクールとなっており非常に素晴らしいことです。

 というわけでアニメのOPはアニメの顔。今期アニメの個人的に好きなOPを紹介すると同時にそのアニメについて現状でのそれぞれの作品を語っていきたいと思います。

 

86-エイティシックス-(2クール目)

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 2クール目になってアニメのテンポが良くなったと(自分の周りでは)評判の86。

 OPの気持ちよさと演出に関しては個人的に2クール目OPは見張るものがある。

 まずアニメのOPで大事なのはやっぱりテンポと音ハメだと思っている自分としてはOPの緩急がしっかり映像が乗っかっていることが一つの評価点だ。

 ゆったりと盛り上がっていく楽曲に合わせて基本的に動きが少なめの映像がサビ前までは続いていき、またキャラクターは基本的に画面に直接的に目を向けない形で描かれている。

 視聴者側もOPの楽曲に乗っかりながら映像の持つ空気感や要素に身を委ねていくことができる。

 そしてサビに入った時に印象的なカットとして『目』が入ってくる。

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@Project-86

 この目で一気に映像の空気感は変化し、戦場のシーンに映像は移り変わり、ブワーっと大量のロボット(レギオン)がいる戦場を駆け抜けてくる主人公たちの機体(レギンレイヴ)がOP最初の方のレギオンのカットと対比的に描かれ、そしてそこには『乗り手』としてのキャラクターたちがいることが示唆される。

 ここで各キャラクターがしっかり画面を見据えてアップになっていき『目』にズームしていくのが印象的だ。

 このOPで共通される『目』の強調である。ここのサビでの目のカットでようやく画面にしっかり目を向けるキャラクターたちが描かれることでサビと同時にめちゃくちゃに視聴者に印象的なOPとなるのが気持ちがいい。

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@Project-86

 そしてこのOPの一番好きなところがサビのこの勢いできたところからのタイトル出し。

 ここで「86」のタイトル出しからのゆったりした映像を流すのはうわ~上手すぎるってなった部分。ピタっと止まるように静かになる映像とサビのそのままの勢いがもうめちゃくちゃに印象に残る。そして主人公の眼に映る先にある光景としてラストカットがOPの最初のカットと繋がるのも良い演出だ。

 OPが完成されている…ってなる良いOP。

 86本編はサングノマリア共和国という場所で有色人種故に人間扱いしてもらえない主人公たちが性能がウンコみたいなロボット「ジャガーノート」に乗せられて、AIで動いてるんだかもうロボットっていうか怪獣みたいなロボットである「レギオン」と戦う話である。

 2クール目は1クール目の色々あった間の話であり、主人公たちは戦線を離れてそのレギオンを作ったけど滅ぼされて新しい国となった「ギアーデ連邦」に拾われ、なんかそこで出会った幼女と一緒にがんばっていく話となっている。

 この86というアニメは一応ロボットアニメに区分されるアニメなのだが、明らかに滅茶苦茶地味めなジャガーノートというロボットがプラモ化されていたりとやる気にあふれたアニメである。

 是非今回の記事で初めて知った、知ってたけど見てなかった という人もOPの勢いに合わせて2クール目からでもいいので見てみてはいかがだろうか。

 ちょっとタルいテンポもあるっちゃあるアニメだが、やっぱやる気があるアニメはいいですよ。

 OPの絵コンテ演出は山本建さん。

 近年活躍している若手アニメーターであり、Eveの「約束」のMVの監督を担当していたりする注目株。

 すっごい良いOPだったのでまた他のアニメでもOPを担当しているのが見たくなる。これからも要チェックです。

 

見える子ちゃん

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 コメディホラーを謳う作品である「見える子ちゃん」のOP。

 曲だけ聞くと非常にポップな曲であり、同時にOPの色付けも全く「怖さ」を感じさせるというよりもカラフルかつポップな感触を感じるものとなっている。

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@見える子ちゃん製作委員会

 しかしそれとはギャップ的にカラフルに描かれているのは「血」であり、日常の中に描かれる「血」の中をOPの見える子ちゃんは逃げ回っている映像となっている。

 このOPの特色、それは「見える子ちゃん視点ではない」ということである。

 見える子ちゃんというアニメは主人公の「四谷みこ(見える子ちゃん)」の目線で基本的には描かれる作品であり、タイトル通り幽霊が見えてしまう主人公が日常を安全に過ごすために幽霊を常にシカトし続けるアニメとなっている。

 アニメ本編では無論幽霊が出てくるのだが、OPでは一切幽霊が出てこない。本当に一切ない。見える子ちゃんの視点ではなく、第三者視点で描かれているのだ。

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@見える子ちゃん製作委員会

 見える子ちゃんは常に目線を画面の端々にやっているが、視聴者の目線ではOPではカラフルで不気味には見えない血しか見ることはできない。

 それに悪寒を感じることはできても、見える子ちゃんと同じ視点を共有することはできないままOPを見ていくことになる。

 作品の主人公である見える子ちゃんという存在を際立たせると同時に、この作品の重要要素である幽霊を敢えて「出さない」のは面白いOPとなっている。

 あとやっぱり音ハメが気持ちがいい。サビでのカットのタイミングがとにかく気持ちが良く、またカラフルな血で描かれる演出が見てて楽しいものとなっている。

 ちなみにOPとは対比的にEDはめちゃくちゃに幽霊がいっぱい出てくる。むしろ主人公たちよりも幽霊がメインみたいな感じで描かれてるくらいは動きまくって出てくる。

 こういうところもニクイ演出のように感じられる。OPで幽霊を見なかった視聴者は、本編を見終わった後のEDで幽霊を見て見ぬふりをしてかわいい女の子を楽しむような感触が楽しめるかもしれない。

 アニメ本編は3話までだとコメディホラーというだけあって本当に日常に幽霊が出る シカトする の繰り返しをストーリーでやるみたいなシンプルな構造なので多少退屈さもあるのだが、3話になって遂に霊能力者が登場したので今後ストーリーがどう転がっていくか楽しみなところである。

 個人的には日曜日にテスラノートとかを見た後にのんびり見るのに向いていて好きです。

 OPの絵コンテ演出は監督である小川優樹さん。

 近年は異種族レビュアーズや月曜日のたわわの監督や、ひぐらしの鳴く頃に業のOPのコンテなどを担当している。

 ひぐらし業のOP担当だったのは納得度が高い。女の子を走らせるのとかの魅せ方がいいっすね…。

 

吸血鬼すぐ死ぬ

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 吸血鬼と吸血鬼ハンターのバディもの(?)っぽいギャグアニメ。

 とにかく楽しいOPで、主役二人のダンスが曲に合わせて非常に気持ちよく描かれている。

 なんかよくみるとダンスがすごいアホっぽかったり、ダンスに二人とも失敗していたりと、シンプルなようでテンポよく映像的に視聴者を楽しませてくれるOPになっている。

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@製作委員会すぐ死ぬ

 ダンス作画については崩しの少ない描き方がされており、それと同時にクルクル回る背景でなんか2人のダンスが異様に生き生きと動いてるように見えるのはアニメーション技術の妙を感じられる。

 アニメに大事なのはなんにせよ「それっぽく視聴者が感じること」なのだ。

 それから基本的にはこのOPでは主役である二人以外はダンスしないのもあって対比的であり、ダンスをしている二人が「主役」である作品だということは言うまでもなく伝わるものとなっているだろう。

 また、砂になって消えていスタッフクレジットが印象的なのでせっかくなら本編を見てスタッフクレジット入りのOPを見るのもおすすめしたい。

 ちなみにOPのコンテ演出は増原光幸さん。「ダイヤのA」や「若おかみは小学生!(テレビアニメ)」の監督をしていた方である。

 スタッフの皆さん軽快で楽しいOPをありがとうございます。

 「吸血鬼すぐ死ぬ」はバンパイアハンターのロナルドと、高等吸血鬼のドラルクの2人がバディを組んで過ごす日々を描くギャグ漫画のアニメ化である。

 ドラルクは自身を格の高い吸血鬼だと自称しているが、ほんのちょっとのきっかけで死んで砂になってしまう虚弱体質であり、すぐに生き返るがすぐに死ぬ全然威厳のない吸血鬼だ。

 ドラルクを退治に来たバンパイアハンターのロナルドだが、色々あってドラルクの家を全焼させてしまいドラルクを自身の事務所に住まわせることになってしまう。

 非常にテンポの良いギャグの応酬がアニメとしては非常に目を見張る部分であり、かなりのノンストレスでギャグが楽しめる意味で作り手の技術が光るギャグアニメである。

 声優さんの演技も合わさってとても楽しいアニメとなっているので、ぜひ興味がある方は本編もどうぞ。

 

MUTEKING THE Dancing HERO

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 リンクで埋め込んでるのは公式youtubeのノンクレOPなのだけど、このOPは本当にテロップ入りで見てほしい!!!

 スタッフクレジットがあってこそ完成する最高のOPです。

 まずこのOP楽曲であるオレンジレンジの「ラビリンス」がめちゃくちゃ良い曲なのだが、この曲に合わせてスタッフクレジットが音ハメで気持ちの良いタイミングで入ってくるのがこのOPの魅力となっている。

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@タツノコプロ・MUTEKING製作委員会

 ワンカットワンカットがレコードのジャケットかのように描かれており、これはスタッフクレジットがあってこそ完成されているものなのだ。

 少し古めのOPの曲調も合わさり、このアニメの空気感としても出されている少し古めのポップミュージック的な映像を楽しむことができる非常に良いOPなのだがやっぱりスタッフクレジットがないとそこは伝わらないのだ。

 マジでスタッフクレジット入りを見て!!!公式はスタッフクレジット入りOPもできればyoutubeに…出してくれたらありがたい かも。

 OPのアニメディレクターはTHINKRの佐伯雄一郎さん。

 廻廻奇譚のアニメ版MVなどを担当していた方で、EDも担当している。

 EDも非常に良いものとなっているのでオススメです。

 

 ところでMUTEKING THE Dancing HERO本編はなんだか話が3話まできて一向に進みがない気がしてしまうアニメなのだが、それ以上に特筆されるべきは異様なまでの「セレブ、ブルジョワジー批判」の精神が見られるところである。

 敵となるセオは、舞台となるネオ・サンフランシスコのカリスマ的な起業家であり様々なサービスの提供を行うIT企業オクティングのトップ。

 本編1話ではどう見てもiPhoneのようなアイテムとどう見てもApple Watchのようなアイテムを宣伝していたり、本編で敵側のダンサーとして登場する「オーロラ」のバックにいる人物であったり、街の経済も強引な方法でキャッシュレスを推し進めていたり。

 とにかく現実における巨大企業の資金力で幅を利かせているようなものが目立つ。それと同時にそれらの巨大資本と敵が人々をモンスターによって液体化させる展開を繋げており、とにかく「敵」がオクティングの資本的動きと繋がっていることを強調してくるのだ。

 そして対比させるように主人公のムテキたちはゲームセンターでキャッシュレスではない硬貨を入れることでプレイできるゲームセンターで絆を深めるような描写や、ムテキがストリートダンスを嗜む人物であることが映像で端々から描写されていたり。(代表として1話では明らかにマイケル・ジャクソンを意識したシーンがある)

 ムテキの相棒的キャラであるDJは明らかにヒップホップを意識したキャラクターとなっており、とにかく資本的強者であるオクティングとは対比的に庶民的かつストリート的な側面が主人公側で強調されているのだ。

 しかしアニメ自体は「なんか主人公がオクティングの商品を買いに行ったらそこで敵の策略に巻き込まれてその場で変身」のフォーマットに則っており、そういった「よくあるヒーローアニメ」ないし「女児アニメ」のような構造にこの異様なまでの一貫性が乗っているのは異様な味わいでありMUTEKING以外では味わえないものとなっている。

 今後に注目していきたい一作と言えるだろう。みんなも見よう!